お勉強方法 4

さて「お勉強方法 3」までマスターしたあなたはかなりのものです。ここからは仕上げです。

 

民事訴訟マニュアル上下 岡口基一 ぎょうせい

 

これは実務者向けに現役裁判官の「あの」岡口判事が書いたものです。民事訴訟法に沿って判例や実際の裁判所での扱い方が書いてあり、さらには和解条項や簡裁・少額訴訟・刑事事件の損害賠償命令も入っており、書式も揃っているので必ず手元に置いておきたい本です。伊藤眞の方は理論的なものなので辞書として、こちらの民事訴訟マニュアルは実際の手引きとして使うといいでしょう。

 

要件事実マニュアル上下 岡口基一 ぎょうせい


通常司法試験に合格すると「司法修習」と呼ばれる実務につく前のインターンシップのような教習を受けます。他の本人訴訟でも法律の勉強はしているがここまでやっている人はあまり見かけません。司法修習は事実認定と要件事実という実務のための学習をするのです。事実認定は簡単に言って経験から導かれて認定できる事実を言い、要件事実は各条文や判例から醸造された要点を事件の類型毎にまとめたものです。特に要件事実が分かっていないばかりに、同じような主張を繰り返して裁判を長期化させたり、本人訴訟が嫌がられる原因にもなっていると筆者は考えます。


和解交渉と条項作成の実務 田中豊 学陽書房
 

こちらは和解交渉での条文作成をまとめたものです。民事裁判では3割程度は和解で解決しているので和解に関する知識も身につけましょう。和解条文も知識が無いと書けないものが多く、条文の文言に何を入れるかで結果が変わってくることがあるのでこちらも目を通したい本です。


裁判官!当職そこが知りたかったのです 岡口基一他 学陽書房


こちらは岡口判事の裁判での心証や考え方を書いた本です。どのように法廷を運営しているのかかなり正直に書いてあると思います。

 

別冊ジュリスト 有斐閣

 

法律は条文だけではダメで、その法律の「解釈」が実際の運用方法として用いられています。あなたの訴訟内容に沿ったジュリストを見つけて読んでみる価値はあると思います。ただしちょっと内容が分かりにくいかな~とは思います。判決の後ろに意見が書いてあったりするからです。人によっては事件番号を控えて裁判所のHPの裁判例情報で判決文を見てしまった方が分かりやすいかもしれません。ジュリストに乗っているような事件ならインターネット上の解釈を見るのも手かなと思います。筆者は最初はジュリストや本に載っている裁判例を見てから裁判所の裁判例情報を見て勉強しました。名誉棄損や著作権で調べるとかなりの数にはなりますが、このレベルになってくると相手側弁護士も知らない判例などもあり、かなり優位に立てたかなと思います。基本的に弁護士は多数の事件を抱えており、あなたの事件にすべてを費やせるわけではありません。本人訴訟であなたが相手側弁護士に対してただ一つ優位に立てる点は、あなたがあなたの訴訟だけの専門家となり、「時間」や「やる気」を1つの訴訟に費やすことができることだと思います。